マスク生活や季節の変わり目、生理前など、肌がゆらいでチクチクする時期はどうしてもやってきます。そんなときにドラッグストアの棚でよく目に入るのが「CICA(シカ)」と書かれたクリームです。韓国コスメから広まった成分ですが、今では国内メーカーからも続々と登場していて、どれを選べばいいのか分からなくなっている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、CICAクリームの中身が実際どういう成分でできているのか、そして肌荒れが気になる時期にどう選んで、どう使えばいいのかを整理してお伝えします。パッケージの「CICA」という文字だけで選ぶのをやめて、成分表示の裏側まで見られるようになるのがこの記事のゴールです。

そもそもCICA(シカ)とは何なのか
CICAとは、セリ科の植物であるツボクサ(学名:Centella Asiatica)から抽出したエキスを指す呼び名です。化粧品の全成分表示では「ツボクサエキス」「センテラアジアチカ葉エキス」といった名前で記載されています。CICAという言葉自体は成分名ではなく、いわば愛称のようなもの。だからこそ、パッケージにCICAと書いてあっても配合量や配合されている成分の種類はメーカーごとにバラバラというのが実情です。
ツボクサは東南アジアやインドで古くから民間で使われてきた植物で、化粧品原料としては保湿や肌をすこやかに保つ目的で配合されています。アベンヌの公式解説によると、CICA製品に配合される主たる成分はこのツボクサ由来のエキスで、肌をなめらかに整える目的で使われるとされています。
ツボクサエキスと「シカ成分」の違い
もう一段細かく見ていくと、ツボクサエキスの中にはマデカッソシド、アシアチコシド、マデカシン酸、アシアチン酸といった成分が含まれています。ブランドによっては、エキス全体ではなくこれらの単一成分を精製して配合しているケースもあります。成分表示に「マデカッソシド」と単独で書かれていたら、そのブランドはピンポイントで狙って入れている、という読み方ができます。
どちらが優れているという話ではなく、狙いが違うだけです。エキスまるごとのほうが植物由来の他の成分も一緒に入りますし、単一成分のほうが処方の設計はしやすくなります。自分の肌がどちらと相性がいいかは、実際に使ってみないと分からない部分でもあります。
肌荒れが気になるときのCICAクリームの選び方
ここからが本題です。売り場に10種類以上並んでいる中から選ぶとき、見るべきポイントを4つに絞ってお伝えします。
1. 化粧品か医薬部外品かを確認する
これが一番大きな違いです。日本の化粧品は「化粧品」と「医薬部外品(薬用化粧品)」に分かれていて、医薬部外品は有効成分の効果について国の審査を通っているという点が決定的に違います。肌あれ対策をうたえる薬用クリームは、グリチルリチン酸2Kやアラントインといった有効成分が承認された濃度で入っています。
逆に、化粧品カテゴリの製品はそうした表示ができません。ただし化粧品が劣るという意味ではなく、使用感や処方の自由度では化粧品のほうが優れているケースも多くあります。肌あれが起きている真っ最中なら医薬部外品、日常の保湿ベースとして使うなら化粧品という使い分けが分かりやすいと思います。パッケージの隅に「医薬部外品」と小さく書いてあるので、購入前に必ずチェックしてみてください。
2. テクスチャーで選ぶ(ジェル系かバーム系か)
CICAクリームはテクスチャーの幅がとても広いジャンルです。ジェルに近くてみずみずしいタイプもあれば、こっくりした軟膏のようなバームタイプもあります。
| タイプ | 向いている肌・季節 | 使いどころ |
|---|---|---|
| ジェル・ジェルクリーム | 脂性肌〜混合肌、夏場 | 朝のスキンケア、メイク前 |
| 乳液に近いクリーム | 普通肌、通年 | 朝晩どちらでも |
| こっくりバーム | 乾燥肌、冬場 | 夜の締め、部分的な重ね塗り |
たとえばVT CICA クリームはジェルに近い軽いつけ心地で、スキンケア後のベタつきが苦手な方に向いているタイプです。一方でDr.Jart+(ドクタージャルト)シカペア クリームはもう少ししっとりした質感で、乾燥が強い時期の夜用として使われることが多い製品です。同じ「CICAクリーム」でも使う場面がまったく違うので、今の自分の肌がベタつき側で困っているのか、カサつき側で困っているのかを先に決めてから売り場に行くと迷いません。

3. 香料・エタノールの有無をチェックする
肌がゆらいでいるときは、普段は平気な成分がしみることがあります。特に注意して見たいのが香料とエタノール(アルコール)です。清涼感を出すためにエタノールが上位に配合されている製品もあり、健康な肌なら気持ちよく使えても、荒れているときはヒリつきの原因になることがあります。
全成分表示は配合量の多い順に並んでいるのが原則なので(1%以下の成分は順不同)、リストの前半にエタノールがあるかどうかを見るだけでもかなり判断材料になります。無香料・アルコールフリーと明記された製品を選ぶのが、ゆらぎ期のいちばん安全なやり方です。
4. 容量と価格のバランスを見る
CICAクリームは顔だけでなく、ひじやひざ、手の甲など全身に使う方も多いアイテムです。少量サイズを買って途中でケチって使うより、たっぷり使える容量のものを選んだほうが結果的に満足度が高くなりやすいです。ただし開封後は品質が落ちていくので、3〜6か月程度で使い切れる量を目安にするのがおすすめです。
いわゆる「シカ」を名乗る製品でも、ツボクサエキスがごく微量しか入っていない場合があります。全成分表示の最後のほうにポツンと書かれているだけなら、CICAを目当てに選ぶ理由は薄いかもしれません。
CICAクリームの使い方とタイミング
クリームはスキンケアの最後、化粧水と美容液で入れた水分にフタをする役割です。基本の順番は化粧水→美容液→乳液またはクリーム。CICAクリームは乳液の代わりに使っても、乳液のあとに重ねても構いません。
塗る量の目安
顔全体ならパール1粒分が目安です。少なすぎると伸ばすときに摩擦が起きてしまい、かえって肌の負担になります。手のひらで少し温めてから、頬・額・あご・鼻の5点に置いて、内側から外側へやさしく広げていきます。こすらず、押さえるように塗るのが摩擦を減らすコツです。
部分的に厚めに塗る「シカパック」の考え方
小鼻の脇や口まわりなど、特にカサつく部分には少し厚めに重ねる使い方もあります。ただし顔全体に厚塗りして長時間放置すると、ムレて逆にトラブルのもとになることも。気になる部分だけ、5〜10分程度にとどめておくのが無難です。
朝に使うときの注意点
朝に使う場合、そのあとの日焼け止めやベースメイクとの相性が出てきます。油分の多いクリームの上に日焼け止めを重ねるとヨレやすいので、朝は軽めのジェルタイプ、夜はしっかりめのクリームと使い分けている方も多いです。CICAクリームそのものには紫外線を防ぐ働きはないので、日中は必ず日焼け止めを別で用意してください。

買う前に知っておきたい落とし穴
新しいものを一度に何個も投入しない
肌が荒れると焦ってしまい、あれもこれもと新しいアイテムを同時に投入したくなります。ただ、複数を同時に変えると、合わなかったときにどれが原因か分からなくなってしまいます。新しいアイテムは1つずつ、2週間ほど様子を見ながら足していくのが結局いちばん近道です。
パッチテストをする
敏感になっているときこそ、二の腕の内側などに少量塗って24時間ほど様子を見るパッチテストが役に立ちます。手間に感じますが、顔全体で試して赤くなってしまうより、ずっと軽い被害で済みます。
荒れが続くときは皮膚科へ
化粧品はあくまで肌をすこやかに保つためのもので、症状のあるトラブルを治療するものではありません。かゆみや赤み、ブツブツが2週間以上続いているなら、スキンケアで粘るより皮膚科で診てもらうほうが早い場合がほとんどです。日本皮膚科学会の一般向け情報も参考になります。
CICAクリームは「肌のコンディションを整える日常のケア」の位置づけ。症状の治療は医療の領域と割り切ったほうが、結果的にスキンケアも楽しくなります。
よくある質問(Q&A)
Q. CICAクリームはニキビができているときに使ってもいい?
製品によります。油分が多いタイプはニキビが気になる肌には重く感じることがあるので、ノンコメドジェニックテスト済みと書かれたジェルタイプを選ぶほうが無難です。炎症が強い場合は化粧品での対応にこだわらず、医療機関に相談してください。
Q. 韓国コスメと国産、どちらを選べばいい?
どちらでも構いません。韓国ブランドは処方の幅とコスパに強みがあり、国産の医薬部外品は肌あれ対策の有効成分が明確という強みがあります。日本国内で正規に流通している製品であれば、どちらも日本の薬機法にもとづく表示ルールを守って販売されています。個人輸入品や並行輸入品は成分表示の日本語記載がない場合があるので、そこだけは注意してください。
Q. 毎日使い続けても大丈夫?
基本的には毎日使う前提で作られている製品です。ただし肌の状態は季節でも変わるので、夏にベタつきを感じるようになったら軽いテクスチャーに切り替える、といった調整はしたほうが快適です。
Q. 何日くらいで肌の調子の変化を感じられる?
個人差が大きく、一概には言えません。肌の生まれ変わりの周期を考えると、判断するには最低でも4週間程度は同じケアを続けたいところです。1週間で結論を出すのは早すぎます。
Q. 開封後はどのくらい持つ?
明確な使用期限の表示がない製品も多いですが、開封後は空気に触れて品質が変わっていきます。ジャータイプは特に指が触れる分だけ衛生面のリスクがあるので、清潔なスパチュラを使い、3〜6か月を目安に使い切るのが安心です。においや色が変わったものは、もったいなくても使わないのが鉄則です。
Q. 全身に使ってもいい?
顔用として販売されている製品でも、ボディに使って問題ないものがほとんどです。ひじ・ひざ・かかとなど乾燥しやすい部分に使う方もいます。ただし顔用は容量が少なく単価が高いので、全身に使うならボディ用の大容量タイプを別で用意したほうが経済的です。

まとめ
CICAクリーム選びで押さえるべきことを、もう一度整理します。
・CICA=ツボクサエキス。パッケージの文字だけでなく全成分表示を見る
・肌あれ対策をうたえるのは医薬部外品。日常の保湿なら化粧品でも十分
・ジェルかバームか、テクスチャーは今の肌の困りごとで決める
・ゆらぎ期は無香料・アルコールフリーが安全
・新しいアイテムは1つずつ、2週間かけて判断する
肌が荒れているときは、どうしても「早く何とかしたい」と気持ちが焦ります。でも、焦って一気にアイテムを変えるのが、実はいちばん遠回りだったりします。今の自分の肌が何に困っているのかを一度言語化してから選ぶと、売り場での迷いがぐっと減るはずです。
参考:アベンヌ公式「CICA製品とは?」/ラ ロッシュ ポゼ公式「話題の成分CICA(シカ)を徹底解説」/日本皮膚科学会
この記事の内容は記事執筆時点の情報にもとづいています。製品の仕様や取り扱い状況は変わることがあるため、購入前には各メーカーの公式サイトをご確認ください。

