医療脱毛のカウンセリングに行くと、「当院はアレキサンドライトレーザーを使っています」「ダイオードレーザーの蓄熱式です」といった説明を受けます。ところが多くの方にとって、この単語の違いはまったくピンとこないはずです。名前を聞いても、それが自分にとって良いことなのか判断がつきません。
この記事では、医療脱毛で使われる3種類のレーザーの違いを、波長という考え方から順に整理します。あわせて熱破壊式と蓄熱式という照射方法の違いにも触れ、「自分の毛質・肌質ならどれを選べばいいのか」を判断できる状態を目指します。

レーザーの違いは「波長」の違い
医療脱毛で使われるレーザーには、それぞれ固有の波長があります。単位はナノメートル(nm)で表され、この数字が大きいほど光が皮膚の深いところまで届くという関係にあります。
一方で、波長が短いほどメラニン色素への吸収率が高くなります。つまり、浅いところにある黒い毛には短い波長がよく反応し、深いところにある毛根には長い波長が届く、という役割分担があるわけです。
| レーザーの種類 | 波長 | 届く深さ | メラニンへの反応 |
|---|---|---|---|
| アレキサンドライトレーザー | 755nm | 浅め | 非常に高い |
| ダイオードレーザー | 800〜940nm | 中間 | 中程度 |
| ヤグ(Nd:YAG)レーザー | 1,064nm | 深い | 低め |
この表がすべての土台になります。以下、それぞれの特徴を具体的に見ていきましょう。
アレキサンドライトレーザー(755nm)
特徴
3種類の中で最も波長が短く、メラニン色素への反応がとても良いレーザーです。黒い色に対して敏感に反応するため、比較的低い出力でも効率よく熱を発生させられます。日本国内の医療脱毛で長く使われてきた実績のある方式です。
得意なこと
太くて黒い毛に対して手応えが出やすいのが持ち味です。ワキやVIO、ひざ下といった濃い毛が集中している部位との相性が良好です。また、照射のたびに冷却ガスを噴射する機種が多く、施術のスピードが速い点も特徴として挙げられます。
ただし、この「色素によく反応する」という性質は毛に対するものです。医療脱毛はムダ毛への施術であり、肌の色調そのものを変えることを目的とした施術ではありません。色素沈着や毛穴の状態が気になる場合は、脱毛とは別の診療メニューとして医師に相談してください。
苦手なこと
メラニンによく反応するということは、裏を返せば肌のメラニンにも反応しやすいということです。日焼けした肌、地黒の肌、濃い色素沈着がある部位では、出力を下げる判断になったり、照射自体を見送ったりすることがあります。
また、色素の薄い産毛や白髪には反応しにくく、顔のうぶ毛を重点的にケアしたい方には物足りなさが残る場合があります。
「毛が太い・肌の色は明るめ」という方は、アレキサンドライトレーザーの得意分野にきれいに当てはまります。
ダイオードレーザー(800〜940nm)
特徴
アレキサンドライトとヤグのちょうど中間に位置する波長を持ちます。オールラウンダーという言い方がしっくりくる存在で、幅広い毛質・肌質に対応できるのが強みです。
ダイオードレーザーを搭載した機器には、後述する熱破壊式と蓄熱式の両方があり、機種によって照射の性格が変わります。同じ「ダイオード」でも中身が違うことがあるため、カウンセリングでは機種名まで確認しておくと理解が深まります。
得意なこと
波長が中間帯なので、太い毛にも産毛にも対応しやすい設計です。全身脱毛のように、部位ごとに毛質が大きく変わるコースでは扱いやすい方式といえます。
蓄熱式のダイオードレーザーであれば、メラニンに強く依存しないため、色黒の肌や色素沈着のある部位でも照射できる範囲が広がります。日焼けをする機会が多い方、もともと肌の色が濃い方にとっては選択肢が増える存在です。
苦手なこと
バランス型であるぶん、「太くて濃い毛だけを一気に処理したい」という目的では、アレキサンドライトほどの鋭さを感じないという声もあります。ただし長期的な減毛の度合いについては、レーザーの種類による差はほとんどないと考えられています。

ヤグ(Nd:YAG)レーザー(1,064nm)
特徴
3種類の中で最も波長が長く、皮膚の深い層まで届くのが特徴です。そのぶんメラニンへの吸収率は低くなります。
得意なこと
毛根が深い位置にある毛に届きやすいため、男性のヒゲやVIOの根深い毛に用いられることがあります。またメラニンへの依存度が低いことから、日焼け肌・色黒肌・色素沈着のある部位にも照射しやすいという利点があります。
苦手なこと
深部まで熱を届けるぶん、痛みを強く感じやすい傾向があります。麻酔との併用を前提に考えたほうがよい方式です。また、産毛への反応は限定的です。
熱破壊式と蓄熱式——照射方法という別の軸
レーザーの種類と混同されやすいのが、熱破壊式・蓄熱式という照射方法の分類です。これは「どこを狙って、どう熱を届けるか」の違いで、レーザーの種類とは別の軸になります。
熱破壊式(ショット式)
毛根にある毛乳頭や毛母細胞に対して、強い熱を一瞬で与える方式です。パチンとした刺激を感じやすい代わりに、太い毛に対しての手応えが早く出やすいとされます。照射後1〜3週間で毛が抜け落ちる、あの感覚が得られやすいのもこの方式です。
蓄熱式
毛の生成を指示するバルジ領域という組織に向けて、低出力の熱を繰り返し重ねていく方式です。バルジ領域は毛根より浅い場所にあるため、深くまで熱を届ける必要がありません。
1ショットあたりの出力が低いので、じんわり温かい程度と表現されることが多く、痛みを抑えたい方に選ばれています。メラニン色素への依存が小さいため、産毛や色素の薄い毛にも対応しやすいという特徴もあります。
ただし、毛がすぐに抜けるという体感は得にくく、変化を感じるまでに時間がかかることがあります。「効いていないのでは」と不安になる方もいますが、これは方式の違いによるものです。
| 項目 | 熱破壊式 | 蓄熱式 |
|---|---|---|
| 狙う場所 | 毛乳頭・毛母細胞 | バルジ領域 |
| 熱の与え方 | 強い熱を一瞬 | 弱い熱を連続で |
| 痛みの傾向 | 強めに感じやすい | おだやかに感じやすい |
| 太い毛 | 手応えが出やすい | 回数を重ねて対応 |
| 産毛・薄い毛 | 反応しにくい | 対応しやすい |
| 抜け落ちる実感 | 早めに出やすい | ゆっくり |
「蓄熱式だから白髪もいける」という説明を見かけることがありますが、蓄熱式でも白髪にレーザーは反応しません。色素のない毛には、針を用いる方法が別に存在します。
自分に合うレーザーの選び方
毛が太くて肌の色が明るい方
アレキサンドライトレーザーや熱破壊式のダイオードレーザーが得意とする領域です。抜け落ちる実感が早く出やすく、モチベーションを保ちやすいという副次的な利点もあります。
日焼けしやすい・肌の色が濃い方
蓄熱式のダイオードレーザーやヤグレーザーを扱っているクリニックを選ぶと、照射できる幅が広がります。肌の色を理由に断られた経験がある方こそ、機器の種類で結果が変わる可能性があります。
顔の産毛を重視したい方
蓄熱式の機器を導入しているクリニックが向いています。顔は色素が薄く毛も細いため、メラニン依存の低い方式のほうが対応しやすくなります。
痛みが心配な方
蓄熱式に加えて、麻酔の扱いも一緒に確認しましょう。レジーナクリニックは麻酔を無料の項目に挙げており、フレイアクリニックは安心プランに麻酔クリームと選べる照射方法を付帯すると案内しています。リゼクリニックは麻酔を別途費用としています。
複数の機器を持つクリニックという選択
ここまで読んで「結局どれか1つを選ばないといけないのか」と感じた方もいるかもしれません。実際には、複数の機種を導入していて、部位や肌質に応じて使い分けるクリニックが増えています。
たとえば、太い毛のワキとVIOは熱破壊式、産毛中心の顔と背中は蓄熱式、というように切り替えられれば、1つの機器の弱点を別の機器で補えます。カウンセリングで「複数の機械から選べますか」「部位ごとに変えてもらえますか」と尋ねてみると、その院の柔軟さが見えてきます。

カウンセリングで聞くべき質問リスト
レーザーの知識を頭に入れても、いざカウンセリングの場に行くと何を聞けばいいのか飛んでしまうものです。次の質問をメモしておけば、必要な情報は一通りそろいます。
| 質問 | この質問でわかること |
|---|---|
| 導入している脱毛機は何種類ありますか | 使い分けの余地があるか |
| 照射方法は熱破壊式ですか、蓄熱式ですか | 痛みの傾向と産毛への対応 |
| 部位ごとに機械を変えてもらえますか | 顔とVIOで最適化できるか |
| わたしの肌の色で出力を下げる必要はありますか | 日焼け・色素沈着の影響 |
| テスト照射は受けられますか | 契約前に反応を確かめられるか |
| 硬毛化が起きたときの対応はありますか | 産毛部位のリスクへの備え |
| 打ち漏れがあった場合の再照射は無料ですか | 広範囲照射での安心度 |
この7つを聞いておけば、機器のスペックだけでなく、そのクリニックが患者にどこまで説明する姿勢を持っているかも見えてきます。答えが曖昧なまま契約を急がされるようなら、いったん持ち帰る判断をしてよい場面です。
照射の前後に整えておきたいこと
どのレーザーを選んでも、肌のコンディションが結果を左右します。乾燥した肌は出力を上げにくく、刺激も感じやすくなるため、日頃の保湿が地味に効いてきます。セラミド機能成分を配合したキュレルの薬用保湿クリームや、伸びのよいニベアのスキンミルク(しっとり)といった無香料タイプのボディ用アイテムを、お風呂上がりに塗る習慣をつけておきましょう。
前日の自己処理には電気シェーバーを使います。カミソリは角質を削って乾燥を招くため、脱毛期間中には向きません。パナソニックのフェリエ ボディ用のような刃先の丸いタイプなら肌に当たりにくく、VIOも自分で整えたいならES-WV60系の防水モデルが扱いやすいでしょう。毛抜きやワックスは厳禁です。毛根ごと抜いてしまうと、レーザーが狙う対象そのものがなくなります。
よくある質問
どのレーザーがいちばん結果が出ますか
長期的な減毛の度合いについては、レーザーの種類による大きな差はないと考えられています。むしろ、自分の毛質・肌質に合っているか、通いきれる立地か、痛みに耐えられるか——といった要素のほうが仕上がりを左右します。
機械の名前をカウンセリングで聞いてもいいですか
問題ありません。医療機関としてきちんと説明できる内容ですし、答えを渋るようであれば、その時点で判断材料になります。
途中で機械が変わることはありますか
クリニックの機器入れ替えや、部位ごとの使い分けで変わることがあります。契約時に「どの機種を使うか指定できるか」を確認しておくと、認識のずれを防げます。
日焼けしていても照射できる機械はありますか
波長の長いヤグレーザーや蓄熱式のダイオードレーザーは、日焼け肌への対応幅が比較的広いとされています。ただし強い日焼けの直後は、どの機種でも照射を見送るのが基本です。医師の診察で判断してもらいましょう。
ほくろやタトゥーの部分は照射できますか
色素が濃い部分はレーザーが強く反応してしまうため、避けて照射するのが一般的です。ほくろの上に生えている毛が気になる場合は、診察時に相談してください。
アトピー体質でも受けられますか
症状が落ち着いていれば受けられることが多いものの、判断は医師によります。テスト照射を用意しているクリニックを選び、肌の反応を確認してから進めると安心です。皮膚の状態については公益社団法人日本皮膚科学会の一般向け情報も参考になります。
まとめ
アレキサンドライトレーザーは755nmで浅く、メラニンへの反応が強い。ダイオードレーザーは800〜940nmでバランス型。ヤグレーザーは1,064nmで深部に届く。この3つの位置関係さえつかめば、クリニックの説明はぐっと理解しやすくなります。
さらに、熱破壊式か蓄熱式かという照射方法の軸が重なります。太い毛には熱破壊式、産毛や色素の薄い毛・痛みが心配な方には蓄熱式という整理を覚えておけば十分です。
最終的に大切なのは、機械の名前ではなく「自分の毛質と肌質に合わせて使い分けてもらえるか」。無料カウンセリングで導入機器を確認し、テスト照射で肌の反応を見てから決めるのが、遠回りに見えて確実な選び方です。
参考:リゼクリニック公式サイト
導入機器や料金は変更されることがあるため、契約前に各クリニックの公式サイトで最新情報をご確認ください。

